酔の花 ---1---


白波の、かかるうき身と志らでやは、わかにみるめをこひすてふ。

なぎさにまよふあま小舟、うきつしづみつよるべさへ、

荒磯つたふ芦田鶴の、なきてぞともに たつかゆみ、

春を心の花と見て、わすれたまふな かくしつつ、

八千代振るとも君まして、心の末の契りたがふな。


 宴席に花を添えるために、舞妓・芸妓や娼妓が呼ばれる事は多々有る。
 三味線や琴の音に合わせ、舞台がわりの屏風の前で優雅に踊る芸妓の姿を見て、宴席の端に座っていた天霧は盃を取り落としそうになった。
 どうしてここに、よく見知った顔がいるのか。
 いや正確には『よく似ている顔』だが。
 それ以前に、新選組に身をよせているはずの彼女が、こんな所で刀も持たずに芸妓の真似事などをしているのか?

 手の込んだ織りや豪華な刺繍の入った着物を纏い、刀の代わりに舞扇を優雅に使い、結い上げた髪には簡素ながらもよく映える簪や櫛を飾り、顔には白粉を塗り紅まで差して。
 別れた恋人を想って切々と月を見上げる女の情のある姿を、動きで、視線で、唇からほうと吐き出す溜め息で表現する姿は、宴席の男たちをしっかり虜にしている。

「(これは……まずいのではないでしょうか)」

 まずいも何も、この状況を『作戦』の立案者が見たのならおそらく頭をかかえるだろう。
 ついでに弟が姉のこの姿を見たら、気でも狂ったのかと言い出すだろう。
 舞う のほうも、自分に向けられるいくつもの視線を感じつつ、内心の事などおくびにもださずに、

「(あーあ……申し訳ないくらい騙されてくれちゃって)」

 と、かなり呆れかえっていた。
 事のはじまりは、10日ほど前。
 新選組の屯所に、とある情報がもたらされた事からはじまった。











◇◇◇◇◇










「新選組の者が、薩摩の連中と頻繁に会ってるだと?」
「そうよ。 隠してはいたけれど西国なまりがあったし、その人たちも相手が新選組の人だってわかってて話をしてる風だったわ」

 千鶴に会うついで、と称してお千が屯所に持って来た情報は、聞き捨てならざるものだった。
 以前なら、薩摩藩の者と接触していても何も問題はなかったのだが、時流に敏な薩摩は今や長州・土佐と連係して幕府打倒を企てる存在となっていた。
 味方であるなら頼もしいが、敵に回すと手に負えない、そういう相手だけに厄介で、しかも、まだ薩摩が味方に戻ってくると信じている幕府上層部は、確たる手落ちがない限り薩摩藩士を捕縛したり糾弾したりすることを禁じている。
 土方にしてみれば、幕府のお偉方の期待は確実に裏切られる、それも最も手酷い方法で……そう思っているだけに、今のうちにぶっ潰してしまえと主張したいところだが、悲しいかな新選組は幕府旗下の治安維持組織。上の意向には大っぴらに逆らえない。

「まさか、新選組も政治的に薩摩と手を組みましたって事はないわよね」
「冗談にしてもタチが悪ぃぜそりゃあ。 しかし、島原の情報は俺等には手に入れづらいからな、助かった」

 そうと判れば、気はすすまないがまた千鶴に頼んで……と言いかけた土方に、お千が待ったをかけた。

「それがねえ、あの後、あの芸妓の置屋はどこだって、角屋に沢山問い合わせがきてるの」

 座敷きに呼びたい、旦那として名乗りを上げたいという男がぞろぞろ出てきたという話に、さすがの土方も二の句が継げなかった。
 マジな話かと視線だけでおそるおそる問いかければ、お千もまた眉間に皺を寄せて頷く。

「お菊……ああ、君菊の事ね、彼女はよく角屋に呼ばれるからそこで聞いて来たっていうのを教えてもらったんだけれど、こっちがびっくりしちゃったわよ。 確かに、旦那に名乗りをあげる人がいてもおかしくない美人っぷりだったけれど、想像以上の数で」
「まさか置屋が新選組ですとは、間違っても言えねえわなそりゃ」
「そう。 まさにそうなのよ……」

 そんな話をしていると、土方の視線から向かいの廊下をのんびり歩いて行く者があった。
 手に何やら風呂敷包みを抱えて、お気楽そうな表情をしている姿を見て、土方はポン、と手を打つ。

「居るじゃねえか、うってつけなのが」
「え?」
「……お千さんよ。 悪いんだが、もう一度女の着物の支度と島原に人を送り込む手配、頼めねえか?」
「いいの? だって今の人」
「いいんだよ。 すくなくとも千鶴の時よりは心配しねえでも済む」

 それってちょっと酷い言い様じゃないかと、お千は顔を顰めつつも、取りあえず土方の言う通り、準備を引き受ける事にした。
 というのも、

さんの芸者姿、ちょっと興味あるし」

 千鶴ちゃんの時とは着物の趣向を変えてみようかしらと、顔を顰めた割には乗り気で屯所を出ていった。
 そんなこんなで、 が『任務だ』と近藤の別宅に呼ばれて行ってみれば、すっかり準備万端整って、あとは本人が化けるばかり……という段になっていた。

「……そうか。 じゃあ気はすすまないが千鶴に頼む事にする。 いや平助あたりならそこそこ化けられるか」
「やります! やりゃあいいんでしょうが!」

 恐ろしい脅迫を吐く土方を思いっきり睨み付けて、 はお千とともに控えの間へと入っていった。
 事前に、千鶴の旦那になりたいという輩が片手の数じゃきかないほど居ると聞かされておいて、どうして断る事ができようか。
 覚えてろと文句を言いながらも、新選組に居させてもらっているのは一種の契約であるために、強く否は言えない。
 やるとなったら、とことんまでやるまでだと腹を決めれば、 の態度は潔かった。

「あの言い方はあんまりよね。 でもどうせだったら、思いっきり美人にしてアッと言わせてやりましょう!」
「お千ちゃ〜〜ん、この紐、どこ結わえるんだっけ……」
「ああ、これはね……」

 女装になれていない をかいがいしく手伝うお千。
 二人のそんな様子を眺め、華麗な打ち掛けを広げながら君菊も微笑んでいた。
 一通り着付けの終わった所で、 は君菊にちょっとした頼みごとをした。

「舞扇をひとつ、貸してもらえないかな」
「かまいまへんけど、 はん、舞いができはるんどすか?」
「いや、京の目の肥えた旦那衆を誤魔化すまではできないけれど、ちょっとした隠し芸があってね」

 何度か見れば、大体の動きは真似られるという に、君菊は自分の持ち物の中から予備の扇を貸してやった。
 それを開いたり閉じたりしたあと、 はついこの間別の揚屋に隊士たちと行ったときに見た舞妓の舞いを思いだし、さわりの動きを真似てみせた。

「まあ!」
「年はまだ、幾日もたたぬささ竹に、今朝そよさらに春風を、われ知り顔に鶯の、もも喜びの音を立てて、うたひ連れ立ち乙女子が、摘むや千歳の初若菜。 ……地歌舞いの『若菜』どすな」

 歌詞までは、伴奏の人の歌い方が独特だったから聞き取れなかったが動きとしてはこんな感じじゃなかったかなと が言うと、君菊がスッと立ち上がり、続きを舞ってみせた。
 それを一度みた は、軽く目を閉じて頭の中で動きを反芻したあと、君菊の動きを真似してみせる。

「よう、できますなあ……修行中の舞妓たちも、一曲覚えるには何ヵ月もかかりますのに」
「いやあ、だから隠し芸っていうか……ゆっくりとした動き限定だし、剣術でも型の見取り稽古とかあるから、その時の要領と似てるってせいもあるよ」

 さすがに本職のように、視線の動きを色っぽくしたり、指先まで気をつかったり、とまではいかない。

「それだけできれば、宴席に出ても怪しまれる事少なくなるだろうけれど、お酌だけでも大丈夫よ?」
「いーえお千ちゃん。 こうなりゃこっちも意地があるもの。 ……あんのクソ副長がグウの音も出ないような仕事してきてやる」

 どっちも意地っぱりなんだから、とお千はひとつ溜め息をつく。
 取りあえず、男たちの前に化けた を出して感想を聞いてみることにした。

「お待たせしました! 見て驚いちゃって下さい!」

 お千が襖をあけるのに続いて、 は普段の大股歩きではなく上品な仕種で歩を進める。
 控えの間から出てきたとたん、集まっていた幹部の面々の表情が変わった。
 女が化粧と髪型、装いで大化けするという驚きは千鶴の時で経験しているから、その点では二番煎じになるが、また千鶴とは違った雰囲気の美女の出来上がりに男たちは声もない。
 技工を凝らした織り地に刺繍を入れた打ち掛けをまとい、着付けは襟を抜き、うなじの美しさを協調しつつ、女帯を前に締めた商売女の姿。
 普段適当に後ろで結わえているだけの髪に入れ髪をして量をつけ、華麗な形に結い上げていくつもの簪をつけている。
 白粉を乗せた肌、紅をさした唇と目元が、普段の印象をがらりと変えていた。
  が君菊から借りた扇を翳して、ふわりと舞いの仕種をしてみせると、男たちの表情は顎まで落ちそうになった。

「……おいおいおい、やべえぞ。 絶対旦那はどこの誰だとか、いねえなら我こそはって野郎は出てくる」

 間抜け面を晒していた永倉だったが、まっ先に正気に戻ってそう指摘した。 その横で沖田も複雑な顔をしている。

「千鶴ちゃんの時って、まだ子供っぽい部分があったからその点誤魔化せそうだったんだから、僕もかえって面白がっちゃったんだけれどさ。 新八さんの言う通り、ちょっとまずくない?」
「いや、そうでなきゃ困る。 薩摩芋どもを骨抜きにしてくれなきゃ、情報は引き出せねえからな」

 永倉や沖田の言い分を軽く流し、普段の格好からすると何かの詐欺じゃねえかと思いたくなる化けようだが、違和感ねえからキリキリ働いてこいという土方。
 さすが鬼、と永倉も沖田も白い目をむけたが、やはり頼りになるのは常識人の近藤だった。

「トシよ、いくらなんでもまずかろう。 せめて、揚屋の中に彼女がもしもの時に頼れる人間を置くべきだ」

 そうでなくても、新選組の関係者が西国武士の宴席で内偵などしているとわかったらどうなるか。 口にするのも憚るような目にあわせられるのは火をみるより明らかだ。
 近藤の言を受けて、土方はふむ、とひとつ頷き手で顎のあたりをひと撫でした。

「なら、護衛として斎藤と藤堂、内偵の補助として山崎を近くに置こう。 お前も、それでいいな」
「ええ」

 それなら、作戦と今回の経緯を説明する、と土方は容易ならざる情報を明かしてきた。
 お千に今日の準備をしてもらっている間に、彼女からもらった情報の信憑性を高めるために監察方を使って調査することも忘れなかった。
 新選組の者が薩摩藩の者と接触を持つだけでも大変なことだが、さらに捨て置けない事に、薩摩藩の人間は、参謀・伊東の息のかかった隊士とやりとりを重ね、彼等に新選組からの分離を促す書状を渡そうとしている、との事だった。
 そのための席が、近々角屋でもうけられるというところまで調べがついた。

「伊東の野郎が今の新選組のやり方が気に食わないからって、コソコソ動きまわってるのは承知してると思うが、いよいよ捨ておけねえ。 掴んだ情報によると、薩摩藩の後援を受けるための保証書と、後援のための条件などがやり取りされるそうだ」
「あーあ、さっさと斬っておけばこんな面倒なことにならなかったのにね、土方さん?」
「あれの本性を見抜けなかった事と、ここまでのさばらせてちまった事については返す言葉もねえよ。 だが、強かな野郎がようやく出してくれた尻尾だ。 確実に斬れるだけの理由を押さえるまたとない機会にゃ違い無ぇ」

 沖田の嫌味に自嘲的な言葉を返しておきながら、後半にはもうすでに事によっては斬る意思を固めていると明かす。
 その時、周囲を納得させるための確たる理由があれば、伊東一人始末するだけで他の隊士への大きな牽制になるだろう。
 大幹部までもが処断されて、まだ離反を試みる輩がいるならいっそ見上げた根性と言うものだ。

「膿んだ腫物を治すためにゃ、取り残しがあっちゃならねえ。 下手を踏むんじゃねえぞ」









 そして話は、冒頭に戻る。
 舞いはもう良いから酌をしろと命じられて、男の側に侍り銚子を傾ける の横顔は、ほんのりとした蝋燭の明かりに照らされて男装している時とはまるで別人の様相となり、普段を知っている天霧としては気が気ではなかった。

「む……女。 貴様その手はどうした?」

 盃を干した男が、 の袖からちらと見えた手首に白い包帯が巻かれているのに気付き、眉を寄せる。
  は気恥ずかしそうに顔を伏せ、

「舞いの稽古の時に、下手をして裾を踏んで……その表紙にこう、身体を支えようと手をついたんですが、加減が悪かったのか、捻ってしまいまして」
「おおそうか、可哀想にのう。 まだ痛むのか?」
「はい、少し……」
「その手では扇を取るのも辛かろう。 よしよし、わしが摩ってやろうではないか」

 男は断りもせずに の手を取り、包帯の上からごつごつとした手で捻ったという部分を摩った。

「こういうものは腫れがないなら日にち薬じゃ。 痛みがとれるまでは、強く揉んではいかんが、時々こうして摩ってやったほうが治りも早いぞ」
「まあ、お詳しいのですね」
「それは、剣の稽古で何度も捻るわ打つわ、怪我もしておるからのう。 自然覚えてしまったわ」

 二人を見ていた隣の席の男が、笑いながら茶々を入れる。

「おいお前、このような席で荒事の話をするなど不粋じゃ。 見ろ、女が怯えておるではないか」
「何を言う、わしは親切でだな。 のう女」

 薩摩隼人は嫌いか、恐いかと手を取られたまま野太く笑いかけられて、 ははにかむ風に目を細める。
 まんざらではないと言葉ではなく態度で示すその様子に、逆に男たちのほうが色めき立ってしまう。

「のう女、どこの置屋じゃ、旦那はおるのか? 是非贔屓にしたいぞ」

 やはりそういう話になる。厄介な事に発展しそうな雰囲気だ。
 女に絡むのはよせと口を挟んででもとめるべきかと、天霧が腰を浮かしかけた時、 は取られたままの腕をすいと引っ込め、立ち上がってしまった。

「そういうことは、角屋さんに話を通しておくれやす。 そろそろ他の座敷に贔屓の方が来る刻限、そちらに顔も出さんといけませんよって、失礼させてもらいますぅ」
「待て、目の前の客を放ってゆくほうがよほど無礼であろう」
「お客はん、うちは薩摩のお方の強引な所、嫌いではあらしまへんけど……これも芸で身を立てる辛さ、どうぞわかっておくれやす」

 言外に、その『贔屓』が嫌な客なのだと匂わせて、振り切るような仕種で身を翻し、座敷の外へと出てしまう。

「む、天霧。 どこへ行く」
「少しばかり、外の空気を吸ってまいります」

 隣の席の者にそう声をかけて、天霧も席を立った。
 室内に籠った酒の匂いに胸が悪くなりかけていたのは本当だったし、そういう理由でちらほらと席を立つ者も珍しくないので、隣の者も引き止めるような事はしない。
 天霧は廊下に出ると、芸者姿の を探した。
 着物の裾がすいと廊下の角を曲がってゆくのが見え、大股に追い掛ける。

「そこの芸者、暫し……」
「……?」

 手が届くほどの距離に追い付いた所で、女が振り返る。

「何か……」
「こんな所で何をしているのです? 君は新選組の五条君でしょう」

 さすがに声をひそめて問いただしたが、 はきょとんと目を丸くして、次にとまどったように口元に手を当てる。

「お客はん……どなたかとお間違えになってはるんどすか? 急ぎの用がありますよって、これで」

 失礼しますと背を向けて行こうとする。
 とぼけるなら仕方がない、とばかりに天霧は別の手段に出た。
 女に分からぬように拳を握りしめ、背後から無防備な首筋を狙って体重を乗せた拳を突き出す。 一瞬の殺気を込めて。
 寸止めこそかけるつもりでいたが、普通の女であればまずこの殺気に気付かない。背後で動いた事などもっと気付かない。
 だが、五条 が女の身ながら新選組の幹部たちに引けを取らぬ剣客というのであれば。

「!!」

 首の骨に錐を刺されたような鋭い殺気を感じた瞬間、 の身体は反射的に動いていた。
 華麗な着物の裾を翻し、身体を反転させながら一歩飛び退る。
 相手の獲物が追い討ちで急所を狙ってこないように、斜に身体を向けつつ膝を落として反撃のための力を溜めるのも忘れない。
 正面からの殺気であれば受け流す事もできようが、人間は背中に目を持たないから、自然背中への殺気には過剰反応してしまうフシがある。 腕のたつ者ほどそれも顕著だ。
 新選組の五条であれば、反応しないはずがない、と考えたが思った通りだった。
 が、その反応には予想外のオマケがついてきた。
 裾のずるずるした芸者の着物で、後ろに飛び退ったりしたものだから、着地したとたんに巻き込んだ裾をふんづけてしまい、身体がぐいっと後ろに引っ張られる格好になってしまう。

「うわ……!」
「危ない!」

 天霧はとっさに踏み込み、仰け反りながら倒れる の後頭部に手を回して庇った。
 間一髪、柱への激突を免れた の身体は、天霧の腕に半ば支えられる形になりながら床の上に倒れこんでしまう。

「……やはり君でしたね」
「くそっ」

 毒づく口調は、短いながらもいつものそれだ。
 京女の柔らかな口調に違和感すら感じていた天霧にとってはこちらのほうがやりやすい。

「君が身売りをするとは思えませんし、またも内偵の真似事ですか? 新選組もよくやりますね」
「……」

 完全に、無手を得意とする天霧の間合いに捕らえられてしまっていては、ろくな抵抗はできない。
 しかも、動くに動けない女の格好だ。
 無言のまま視線を逸らす に、天霧はわざときつい声音で話し掛ける。

「しかも薩摩の宴席に出てくるとは、含む所が大有りのようですな。 私としても無視するわけにはいきません、話を聞かせてもらいましょうか」

 ちょうど手近な一室が空いている。
 助け起こすというよりは、引きずり立たせるような形で を起こすと、片手で襖を開けた天霧は捕まえた を畳の上にほうり出し、後ろ手に襖を閉めた。
 路上に面した部屋で、窓格子ごしに僅かに屋外の提灯の明かりが入るばかりの薄暗い小部屋だ。
 先程までいた宴席にも、新選組の面々が詰めている個室にも、ここからでは声は届かない。
 しかも目の前には、人間の首など片手でねじ切れる鬼がひとり。

 予想をはるかに越えた危機的状況ながら、 は諦めを見せずに天霧を睨み付け、動きづらい打ち掛けから袖を抜いて部屋の角にほうり出した。




薄桜鬼・トップに戻る / 次へ